離婚の公正証書とは離婚協議書の公正証書版のことで、公証役場で作成する離婚協議における合意文書です。
離婚後に養育費支払いの不履行を防止や、支払いがストップした場合の強制執行に役立つ文書のため、簡単に解説したいと思います。
離婚協議書とは?
離婚協議書とは、離婚の条件(親権者、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割など)について、合意内容をまとめた書面を指します。
公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する、ある事実の存在等について証明する文書が公正証書で、離婚の公正証書は、この離婚条件を証明する、公文書となります。
公正証書のメリット・デメリット
公正証書は公文書ですから高い証明力があり、条項に強制執行受諾文言を入れておくと、債務者が金銭債務(離婚の場合は養育費や慰謝料)の支払いを怠った場合に、裁判を起して裁判所の判決を待たなくても、強制執行の手続きに入ることができます。
しかし、公正証書の作成には公証役場に手数料が発生し、合意内容によって異なるものの数万円を要する場合がほとんどです。また弁護士を代理人としていない場合、ご自分で公証役場に行って相手方と顔を合わせなければならないという、デメリットも。
ですが、長い目で見るとメリットの方が大きいといえるでしょう。
離婚の公正証書の作成を検討すべき?
以下の場合は、公正証書の作成を検討した方が良いでしょう。
① 養育費を受け取る場合
② 慰謝料を分割払いで受け取る場合
③ 年金分割を協議で行う場合
④ 弁護士が協議離婚合意書を作成していない場合
継続的に金銭が支払われる場合や分割の場合、万一、相手方が支払わなくなった場合、裁判等を起こすことなく強制執行手続きに入れます。
また①から③の場合以外でも、素人の方が専門的知識のないまま作成した合意書は法的に無効となる場合があったり、不利益を被る場合もあります。
そのため弁護士に作成をご依頼されない場合でも、専門家に確認してもらうことは必要でしょう。
夫側は離婚の公正証書を作成するメリットがない?
多くの事案では、妻が継続的な金銭給付を受けたり、年金分割を受ける側です。
そのため一般的に夫側は公正証書を作成するメリットはないといえますが、妻が不貞行為を行い、離婚慰謝料として長期の分割払いで支払ってもらうケースもあります。
離婚理由によっては、夫側も公正証書作成を検討すべきでしょう。
公正証書作成も弁護士が対応します
公正証書は公文書ですので義務者にとって「合意内容を守らなければ」という心理的効果はあり、金銭の支払い不履行の抑止にはなります。
どのような場合公的証書を作成すれば良いか、内容をどうするか…など、弁護士がしっかりとアドバイスしますので、ぜひご相談ください。