遺産相続の際、家族間でのトラブルが発生するケースがあります。
今回は起こりがちな相続争いの例や相続の基本などを解説します。
遺産として相続できるもの
相続の対象になるのは、具体的には以下の通りになります。
- 現金預貯金
- 不動産
- 車
- 株式
- 賃貸人や賃借人の地位
- 損害賠償請求権などの権利関係
一方、以下は相続対象にはなりません。
- お墓や仏壇などの祭祀(さいし)財産
- 雇用契約の地位
- 年金受給権
- 養育費の支払い義務
といった故人に一身専属的な権利義務は相続対象にはなりません。
起こりがちな相続争い例
兄弟間での相続争いで最も多いのが「長男が家を継ぐもの」といった思い込みや「介護をしていた」という主張によるものです。よくご相談がある例は以下の通りです。
◆兄が「全ての遺産を取得する」と主張
長男が家を継ぐものだから、遺産も全部もらうと主張。
しかし民法では家督制度は廃止されており、長男が全て相続する理由にはなりません。
◆不動産の分割方法が決まらない
「実家を残したい/売却したい」「不動産を相続したいが代償金の金額が折り合わない」など、意見の食い違いで結論が出ない。
◆喪主が葬式費用などを遺産から控除すべきと主張
喪主として葬式や法事をしたため、費用分を遺産から多くもらいたいと主張。
◆介護をしていたので多くの遺産を渡せと言われる
被相続人の介護を行っており「寄与分」として、高額な遺産分割を要求。
◆多額の生前贈与を受けている
高額な生前贈与(特別受益)を受けている場合、相続分を減らすことが可能なものの、本人が特別受益を認めない。
知っておくべき「遺留分」
遺留分とは、一定範囲の法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。
遺言や贈与によって相続人の遺産取得分がなくなったり減ったりしても、最低限遺留分までは取り戻しが可能です。
また遺言書が無い場合に一人が遺産の全ての相続を希望しても、遺産分割協議において、相続対象者全員がその内容に納得し合意しなければ、全て相続することはできません。
この遺留分が認められるのは被相続人の
- 配偶者
- 子ども
- 直径尊属(親、祖父母)
- 孫やひ孫(代襲相続の場合のみ)
…など。兄弟姉妹や甥・姪、相続を放棄した人などは対象にはなりません。
弁護士のサポートが必須!
遺産相続手続きを進める中で「不利な条件だけど受け入れるしかないのか」とお悩みの方もいるでしょう。
遺言状がある場合も無い場合も「遺留分」を請求できる権利もあり、よほどのことが無い限りは受け取る権利はあります。
トラブルを適切に解決するには、弁護士によるサポートが必須でしょう。